研究概要 |
われわれは口腔癌患者に対し18F-fluorodeoxyglucose-Positron emission tomography(FDG-PET)検査を行い、口腔癌の検出のみならず、放射線併用化学療法のモニターリングに応用してきた。FDGの集積をstandardized uptake value(SUV)を用いて定量化することにより、治療効果の予測、残存腫瘍の有無の予測ができることから、口腔の機能と器官温存が現実に可能になってきた。 そこで、FDG-PET検査を施行した症例に対して細胞増殖との関連が指摘されているKi-67(MIB-1)やPCNA免疫染色を行い、その標識率とPET画像のSUVとの関連を検討した。 [対象、方法]対象はPET検査を施行した口腔扁平上皮癌23例(高分化:17、中等度:6)。データ解析はFDG-PETの水平断面でFDGの最も集積が高い部位に関心領域を設定しSUVの平均値を測定し、FDGの腫瘍内取り込み量を定量した。PCNA免疫染色はPET検査後に行った生検標本(ホルマリン固定、パラフィン包埋)により切片を作製、一次抗体として抗MIB-1抗体(Immunotech,1:100)と抗PCNA抗体(Novocastra,1:100)を使用した。腫瘍細胞1000個以上から細胞密度(Cellularity)と標識率を算定した。[結果]SUVの平均値は9.22±4.73mg/ml(4.07-26.06mg/ml)、PCNA標識率は平均32.1±10.0%(11.8-56.6%)であり両者に相関は認められなかった。また、SUVはMIB-1(平均27.2±11.3%)とも相関関係はみられなかった。多変量解析ではSUVとMIB-1 X Cellularityは有意差はないものの相関する傾向がみられた。高分化腫瘍の方が中分化よりも放射線併用化学療法後にSUV値の低下が大きかった。
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