咀嚼ネットワークを含んだ培養脳幹ブロックを作製し、この脳幹培養チャンバー内にGABAレセプター拮抗薬(Bicuculine)と興奮性アミノ酸(NMDA)を投与して三叉神経系にリズミカル活動を誘発し、この時の三叉神経運動核内のmotoneuronの膜電位の変化をPatch Clamp法にて記録した。三叉神経運動ニューロンの膜特性は、series resistant 60.9±6.8MΩ、whole cell capacitance 3.5±2.6pF、resting potential50.7±6.8mVであった。GABAレセプター拮抗薬(Bicuculine)と興奮性アミノ酸(NMDA)を投与した時の三叉神経運動ニューロンの膜電位の変化は、まず膜電位にEPSPが発現し、徐々に脱分極がすすむにつれてEPSPに合わせてスパイクが発現するようになった。GABAレセプター拮抗薬(Bicuculine)は脱分極の亢進に強く働き、興奮性アミノ酸(NMDA)の投与がリズム発生におもに関わっていると考えられた。 さらに呼吸のネットワークも含んだ培養脳幹を作製し、三叉神経運動根、三叉神経運動ニューロン、舌下神経束から細胞外記録法を用いて呼吸性活動の記録を行った。脳幹培養チャンバー内へGABAレセプター拮抗薬(Bicuculine)と興奮性アミノ酸(NMDA)を投与して三叉神経運動根にリズミカル活動を誘発すると、呼吸性活動を示していた三叉神経運動ニューロンの活動は振幅が減少したtonicな活動となり、呼吸性活動は消失した。つまり三叉神経系の咀嚼様リズム活動誘発により呼吸性活動が抑制されることが示唆された。
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