研究課題/領域番号 |
11671991
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
桃田 幸弘 徳島大学, 歯学部・附属病院, 助手 (00304543)
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研究分担者 |
里村 一人 徳島大学, 歯学部, 助手 (80243715)
林 英司 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (50173000)
鎌田 伸之 徳島大学, 歯学部, 助教授 (70242211)
武知 正晃 徳島大学, 歯学部, 助手 (00304535)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌細胞 / 細胞接着分子 / E-カドヘリン / 血管新生 / 血管新生阻害剤 |
研究概要 |
1.口腔扁平上皮癌細胞における細胞接着分子E-カドヘリンの影響について検討した。11種類の口腔扁平上皮癌細胞においてE-カドヘリンの発現量に大きな差異が認められた。E-カドヘリンを発現している細胞ではSCIDマウスへの造腫瘍性を示した。しかしながら発現していない細胞ではSCIDマウスへの造腫瘍性を示さず、さらに高い浸潤能を有することが示された。また、E-カドヘリンの発現量の差異は口腔癌細胞の形態や分化度にも関与することが示された。以上より、口腔扁平上皮癌におけるE-カドヘリンは、細胞形態、分化度、浸潤様式、および癌の形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。 2.口腔扁平上皮癌細胞の産生する種々の血管新生促進因子について検索した。完全合成無蛋白培地PF86-1で継代培養している口腔扁平上皮癌細胞の培養上清は、6種類中5種類で血管内皮細胞の増殖促進を示した。RT-PCR法で検索した結果、VEGF、bFGF、PD-ECGF、PDGF、TGF-βでは殆ど全ての口腔扁平上皮癌細胞でmRNAの発現がみられた。即ち、口腔扁平上皮癌細胞は複数の血管新生促進因子を発現していること、また細胞によってその発現の程度が異なり、実際にその培養上清が様々な程度で血管内皮細胞の増殖促進作用を示すことが明らかになった。また、正常口腔粘膜上皮細胞の無蛋白培養を支持する新規合成無蛋白培地PFM-7を確立した。これにより、正常および癌細胞が分泌産生する物質の比較検討が可能となった。 3.口腔扁平上皮癌の増殖におよぼす血管新生阻害剤の影響について検討した結果、SCIDマウス背部皮下に移植した口腔扁平上皮癌細胞HSC-2の増殖はフマギリン誘導体TNP-470濃度依存的に抑制された。PECAM-1に対するモノクローナル抗体を用いた免疫染色の結果、TNP-470濃度依存的な腫瘍周囲微小血管密度の減少がみとめられた。 以上の研究結果は、口腔扁平上皮癌において血管新生と細胞接着分子がその増殖進展において密接な関連を有していることを示唆している。今後は、この二つの因子の関連をさらに詳細に検討していく予定である。
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