研究概要 |
10カ月齢のウィスター系雄性ラットを2群(骨膜下群,骨膜切除群)に分け,頭頂骨矢状縫合部上にRhBMP-2(10μg)/アテロコラーゲン(10mg)複合凍結乾燥物を埋入し,対照群としてアテロコラーゲン(10mg)単独物を埋入した.1,2,3,4週後に摘出し,固定・脱灰後,HE染色とエラスチカ-ワンギーソン染色を施して,骨形成過程と骨膜・骨組織反応を組織学的に評価した. 骨膜下BMP群において,1週後骨膜下に骨芽細胞と類骨様基質の産生が認められた.2週後には,複合物外層に骨形成がみられたが,中央部はアテロコラーゲン線維が残存しており,細胞侵入に乏しい状態であった.3週後中央部での細胞密度が増加し,4週後には線維性骨梁の連続性が増して,増生骨は既存骨である頭蓋骨と結合していた.骨膜下新生骨は層板構造を呈していた. 骨膜切除下BMP群において,1週後挙上側担体表面に骨芽細胞と類骨様基質の添加形成がみられた.2週後拳上側帽状腱膜下に骨膜様の水平方向に走行する線維性組織が形成され,その表層に骨芽細胞の配列と線維骨が認められた.中央部はアテロコラーゲン線維が残存しており,細胞侵入に乏しい状熊であった.3週後新生骨梁が増加し,4週後には帽状腱膜下から頭蓋骨に至る骨増生がみられ,新生骨は既存骨と結合していた.拳上側新生骨表面には波状を呈する部分が認められた. 以上より,RhBMP-2の標的細胞が骨膜構成細胞外にも存在し,RhBMP-2/アテロコラーゲン複合物により骨膜切除下でも骨増生が可能であることが示された.この骨増生機構は,帽状腱膜や疎性結合組織内に存在する末分化間葉細胞がRhBMP-2の作用で骨芽細胞へと分化誘導されたものと考えられた.
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