研究概要 |
誘発筋痛における抗侵害受容反応の検討 11年度の研究により得られた至適方法条件により筋痛を誘発し、誘発された筋痛における抗侵害受容反応の成立状況を温熱感受性の変化から検討した。また、筋緊張抑制反応の指標であるExteroceptive suppression(ES2)との関連も検討した。 1.筋痛の既往歴のないボラインティア10名を対象とした。 2.ES2を術前に測定した。 3.筋痛誘発試験の前後に温冷刺激装置を用いて、両側咬筋部皮膚局所の温度感覚の閾値を計測した。温度感覚閾値として、1)温感感受限界Warm Detected Limit(WD),2,温痛感受温度Heat Pain Detection(HPD)、3,温痛耐久限界温度Heat Pain Tolerance(HPTO)、4,冷感感受限界Cold Detected Limit(CD)を測定した。 4.計測時期は、誘発試験前、誘発試験直後、30分後、1時間後、2時間後、3時間後、6時間後、12時間後、24時間後とした。 5.WD、HPD、HPTO、CDについて、各の経時変化を検討すると共に、経時的に反対側と比較した。 6.WD、HPD、HPTO、CDの中で、WDを除いた他の閾値には経時変化、反対側との差が認められなかった。この結果は従来からの報告に一致する。 7.WDは誘発試験後3時間までは特に変化が認められなかったが、6時間経過した時点で、閾値の有為な上昇が認められるものが現れ、反対側とも明らかな差が認められた。この変化は12時間後、24時間後には認められなかった。 8.筋痛誘発試験6時間後にWDの閾値亢進を示した被験者のES2は他と比較して抑制率に差は認められなかった。 ES2により評価される筋緊張抑制作用と温度感覚閾値で評価される抗侵害受容反応は直接的な関連は無いが、筋緊張抑制作用の低下が関連して筋痛が発生し、更に抗侵害受容反応の活性程度により疼痛程度が異なるものと考えられた。
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