研究概要 |
1997年8月から1999年12月までに当科にて治療した口腔扁平上皮癌のうち検索可能であった16例について本年度検索をおこなった。 対象は男性9例,女性7例。平均年齢59歳。原発部位は上顎歯肉1例、下顎歯肉6例,舌6例,口底1例,上顎洞2例である。臨床進展度はT1が3例,T2が8例,T3が1例,T4が4例,N0が11例,N1が2例,N2が3例で,全例M0であった。 1)第VIII因子関連抗原の検索 10%緩衝ホルマリン溶液にて固定のパラフィンブロックを4μmで薄切し,PAP法にて行い,100倍光顕下にて検索した。 2)Ag-NORs 数の検索 10%緩衝ホルマリン溶液にて固定のパラフィンブロックを4μmで薄切し,Howell & Blackの one step 法をを若干改良した方法にてAg-NORs染色を施し,1000倍光顕下にて検索した。 その結果,第VIII因子関連抗原は血管内皮細胞に,また,Ag-NORsは核小体内に染色された。また,腫瘍内血管新生が豊富な症例と,そうでない症例が認められた。腫瘍内血管新生の豊富な症例はAg-NORsが多く染まり,核小体が大きく,不整形である傾向を示した。 今後さらに症例数を増やし,他の増殖マーカーとの関連も詳細に検索していく予定である。
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