研究概要 |
平成12年度の研究経過として,照射光をNd:YAGレーザーで行った場合には計画した内容の傾向が確認できなかった.そこで照射光を水銀ランプに変更して培養癌細胞を用いてPDTのアポトーシスの誘導作用について基礎的な検討を行った. 【材料及び方法】 光線力学療法(PDT)の光感受性色素にはフォトフリンを使用した.照射光はエネルギーの高い可視光(波長幅530〜540nmの水銀ランプの輝線)を用い,細胞としては当教室で樹立した4NQO誘発ラット舌扁平上皮癌由来の非転移株RSC3E2および転移株RSC3LMを,また正常細胞株としてマウス真皮繊維芽細胞株を用いた.PDTの効果は,培養液中に50μg/mlの濃度でフォトフリンを添加,12時間作用後種々の条件で照射を行い,12時間培養した後に細胞を固定,TUNEL染色にてアポトーシスを蛍光顕微鏡下に検出し,アポトーシス指数(AI)を算出,評価した. 【結果】フォトフリン単独では両細胞ともアポトーシスは殆ど見られなかったが,可視光照射との併用により,RSC3E2細胞ではAIが68%と高率にアポトーシスが誘導されたのに対し,より悪性度の高いRSC3LM細胞では,正常線維芽細胞と同様に1%以下とPDTに対して抵抗性を示し,癌細胞でも細胞により感受性に顕著な差が存在する事が判明した.
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