反対咬合患者における構音障害が外科的矯正治療後、どのような経過をたどるものなのか、聴覚的印象で問題になる構音障害だけでなく、聴覚的印象ではあまり問題にならない構音操作上の誤りをも含め構音障害は無視して良いものか、あるいは構音訓練の必要性があるのか、その必要性があるとすればどのような構音訓練が必要なのか、術前治療が必要なのか、あるいは形態の改善後でなければ有効性はないのかなどを明らかにする目的で平成11年4月より外科的矯正治療を予定している症例に言語検査を行った。言語検査は「会話明瞭度」および「構音」について行った.「会話明瞭度」については自由会話と音読による方法を用い、構音については「音節、単語、短文、会話」の系統的な検査を行った.検査の結果、「会話明瞭度」は聴覚的印象による5段階評価を行い「構音」については聴覚的印象を音声表記で記録した.構音検査時には音声録音を行い、構音時の顎・顔面の正面倒面デジタルビデオ録画も同時に行った.ビデオ録画に際しては舌の位置と咬合の状態がよく観察できるように注意を払った.聴覚的印象として問題になる構音障害の他、聴覚的には問題にならない構音操作上の誤りを示す症例が少なくなかった.いずれの構音障害についても本人の自覚の有無は様々であった.構音障害と咬合の状態や歯牙の状態との関連については、資料をコンピューターに取り込み、今後さらに検討を行う予定である.
|