研究分担者 |
山本 龍生 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20252984)
森田 学 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40157904)
渡邊 達夫 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20034176)
多田 徹 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80304319)
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研究概要 |
ブラッシングの頻度と期間の違いによる歯肉の細胞応答の変化を検討することを目的とした。 雑種成犬12頭を用いた。頻度(1回/2日,1回/1日,2/1日)によるブラッシング及び対照(歯垢除去)に対し200gfの力で20秒間ブラッシングを0,4,8,12週間行った。イヌを安楽死させた後,歯肉を固定,脱灰,包埋を行い,厚さ4μmの連続切片を作成した。免疫染色には1次抗体として抗proliferating cell ear antigen(PCNA)モノクローナル抗体と抗procollagen type I-C peptide(PIP)モノクローナル抗体を用いた。上皮下の線維芽細胞数,PCNA陽性線維芽細胞数,PIP陽性線維芽細胞数、内縁上皮基底細胞を数えた。そして,線維芽細胞でPCNA陽性率,PIP陽性率,内縁上皮基底細胞でPCNA陽性率を求めた。統計分析として一元配置の分散分析とTukey法による多重比較を行った。 ブラッシング頻度が1回/1日,2回/1日では、線維芽細胞の増殖能の亢進は、4週目から対照群より有意にみられた。一方、1回/2日ブラッシングは、12週目で対照群よりも有意に高くなった。上皮基底細胞の増殖能についても同じ傾向を認めた。コラーゲン合成能の亢進は,ブラッシング頻度の多さに従って大きくなり,いずれのブラッシング群も8週目にピークがみられた。 上皮基底細胞の増殖,線維芽細胞の増殖,コラーゲン産生能は組織の修復過程にみられる現象であり,ブラッシングの頻度の違いにより歯肉組織の修復の速さが違うことが示唆された。また,ブラツッング頻度が多いほど早くその効果が現れることがわかった。そして,歯周組織の修復には,1日/1回のブラッシング頻度で十分であることが推論できた。
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