研究概要 |
本研究は,医療面接の評価法の信頼性や妥当性を検討したうえで,歯学部学生に対して模擬患者を活用した面接技法のトレーニングを行い,その評価法を用いてトレーニングの効果を測定することを目的としている。 平成12年度は,平成11年度に作成,吟味した評価表を用い,医療面接のトレーニングの効果を検討した。対象は岡山大学歯学部臨床実習生(5年次生)16名で,トレーニングを施した群(実験群)8名とトレーニングを施していない群(対照群)8名に分けた。両群16名全員に標準模擬患者を相手に医療面接をそれぞれ2ケースずつ実施し,トレーニング前の評価を行った。1ケース毎に2人の行動観察者と1人の標準模擬患者が評価を行った。トレーニング群には医療面接技法のトレーニングを週1回の割合で3回施した後,トレーニング群とコントロール群の両方に再度医療面接を実施し,トレーニング後の評価を行った。トレーニング前後で臨床実習生の行動評価,および標準模擬患者の評価得点をt-testを用いて比較,検討した。その結果,トレーニング前では実験群,対照群の間に行動評価,標準模擬患者評価の両方において得点の差はなかったが,トレーニング後には実験群の方が対照群群と比較して,行動評価においては危険率1%未満で,標準模擬患者評価においては危険率10%末満で有意に高い値を示した。以上のことより,本トレーニングが医療面接技法の向上に有用であることが示唆された。
|