研究概要 |
歯周病患者が強い口臭を示すことが知られている。そこで本年度は、歯周病細菌の一つであると考えられているグラム陰性菌のPorphyromonas gingivalisに着目し、各菌株のメチルメルカプタン産生能及び本菌のもつメチオニンからメチルメルカプタンを産生する酵素に関する研究を行ったところ、以下の結果が得られた。 1)P.gingivalisの強毒株とされるW83株やW50株のメチルメルカプタン産生量が、他の株と比較して著しく多かった。 2)P.gingivalisのもつメチオニンからメチルメルカプタンを生じる酵素(L-methionine-α-deamino-γ-mercaptomethane-lyase)をコードする遺伝子をクローニングしたところ、この遺伝子は1,200塩基から成り、分子量43.3kDaのタンパクをコードすることが認められた。 3)同酵素を欠失した変異株を作製し、野生株との比較を行ったところ、変異株ではメチルメルカプタンの産生量が極めて少なかった。 4)マウスを用いた毒性実験を行ったところ、変異株は野生株に比較してより低い毒性を示した。 以上の結果から、メチルメルカプタンは口臭の原因となるだけでなく、P.gingivalisの毒性にも関与することが示唆された。
|