研究概要 |
都内および近郊の勤労者ならびに一般住民(35歳から60歳)400名を対象とし,本人および関係諸機関の同意を得た者について,口腔保健についての質問,デジタルカメラで口腔内写真を前歯部の唇面のみ撮影(この際,標準色調を必ず同時に撮影した),安静時の吐出唾液を採取した(唾液は保存後,潜血,Lactate,Glucose,Sucrose濃度の測定を行った)。また,口腔診査は,歯および補綴状況についてはWHOの基準を,歯周疾患は,CPI,Russell's PIの石井・吉田変法,Russellの臨床診断の3項目,歯口清掃状態はOHI-Sの原法を用い診査した。 パソコンを用い,標準色調で補正を行い画像を保存するとともに,ディスプレイ上でRussellの臨床診断を行った。口腔診査および唾液診査ならびに口腔保健の問診結果をパソコンに入力し,これらから得られた総合的状況と,CPIおよびPIによって設定した歯周疾患状態の関連性について検討を加えた。 その結果,デジタル画像診査で,要所見とされた者については,ほとんど口腔診査で得られた指標からも,歯周疾患の罹患が比較的強いものであった。また,デジタル画像で際立った所見がないもののうち,唾液診査の潜血,Lactate濃度が標準より高いのもについても,歯周疾患の罹患が多く見られた。しかし,画像上歯肉が暗赤色のものの多くは,問診から中等度以上の喫煙者であることが多く,これらの者を中心にデジタル画像と唾液診査の現在の項目だけの評価では,誤差が大きくみられ,喫煙状況の把握も必要であることが示唆された。
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