前年度までの研究で、幼若期に抜歯して歯を喪失した状態や粉末飼料で長期間飼育することにより老化が早期に進行し、寿命も短くなることを報告した。そこで今年度は1)歯を抜く時期を変え、生後25週、40週で抜歯または粉末飼料に切り替えて、その後の老化寿命への影響を検討した。 1)歯を抜く時期を変え、生後25週、40週で抜歯または粉末飼料に切り替えて、その後の老化寿命への影響を検討した。 その結果、体重、飼料摂取量には有意な差は認められなかった。また老化度指数は抜歯直後から高くなり始め、抜歯や粉末飼料にすることでコントロール(固形飼料で生理的に飼育したマウス)に比べ老化が促進され、幼若期に抜歯したり、粉末飼料で飼育したマウスと差がなくなった。また死亡時期もコントロールに比べ短かった。 2)マウスは夜間(暗期)に活動し、昼間(明期)の活動が少ない活動周期を持っている。しかし、痴呆が進行するとその周期に乱れが生じる可能性があり、今回固形飼料と粉末飼料で飼育して活動周期の乱れへの影響の差を調べた。具体的には4週間毎に1時間の自発運動量を24時間連続で測定し暗期と明期の活動量の割合を調べた。 その結果、若年、壮年期は暗期の活動量は全体の60〜70%であったが老年期にはいると暗期の活動の割合が減少し、粉末飼料飼育群では40週で60%以下になり、固形飼料飼育群では52週まで60%以下にならなかった。 以上のことより長期であれ、短期であれ、歯の喪失や粉末飼料で飼育することにより老化が促進され寿命も短くなること、粉末飼料での飼育により、早期に明暗の活動周期が乱れることが明らかになった。現在抜歯による活動周期への影響について実験を継続中である。
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