生存期間が約1年と短く、早期に生理的老化徴候を示し、老化進行度の指標が明確な老化促進マウス(Senescence Accelerated Mouse P1TA)を用い、歯の早期喪失や粉末食飼育が全身的成長、老化・痴呆の進行、および寿命に及ぼす影響を検討した。 測定項目としては体重、飼料摂取量、老化度指数、動物の自発運動量(平成11年度科研費で購入)、舌へのアミロイド沈着および、自発運動量からみた明暗周期の割合、死亡時期である。 体重、飼料摂取量は実験群間で差は認められなかった。 老化度指数、運動量、アミロイド沈着は、粉末食群が最も老化が早く、運動量も早期に減少し、アミロイドも早期に沈着していた。次が抜歯群で、抜歯部位による差は認められなかった。コントロール群が最も老化が遅く、運動量も多く、アミロイド沈着時期も遅かった。 明期と暗期の運動量の比較は、各群とも幼若期より36週までは、暗期の運動量が全体の60〜70%であり、暗期に活動し明期は活動が減少していることが明らかになった。コントロール群では、60週までは暗期の運動量が明期の運動量よりも多かったが、それ以降は明期と暗期の運動量がほとんど同じか、明期の運動量の方が多い時も認められ、明期と暗期の区別が困難になった。粉末食群は40週、抜歯群では44週より明期と暗期の割合がほとんど同じになり、コントロール群に比べ全ての実験群で早期に明暗期の区別が困難となった。 また寿命も粉末食群が最も短く、次いで抜歯群、コントロール群の順であった 歯の早期喪失や粉末飼料で飼育することにより老化促進マウスでは老化が促進され、明暗活動周期の乱れる時期が早期になり、寿命も短くなることが明らかになった。
|