研究概要 |
近年,障害児の歯科医療に関する需要に対し,その供給は質・量ともに徐々に充実されつつある。しかしながら障害の種類,程度によって,その治療は困難な場合も多く,障害児の口腔内には,多数の齲蝕歯が処置されずに放置されている場合も多く認められる。障害児の齲蝕を減少させるためには乳幼児期からの歯科保健指導や管理システムが必要であると考えられる。 そこで,各年齢層の健常児ならびに心身障害児が,診療室で術者のいかなる診療行為をどの程度受け入れることが可能かを把握することによって,障害の種類,患児の年齢に合わせた口腔保健ケアーを実施する最適な間隔を明らかにするとともに,より高度な口腔保健ケアーや診療を受けることが可能になるようなトレーニング方法を検索する。 本年度は,自閉症児10症例,精神発達遅滞児16症例について,術者がブラッシングを行なった時の外部行動変化を観察した。観察部位と観察項目は,体(四肢)で7項目,目・顔で5項目,口で6項目,音声で7項目とし,それぞれの出現状況を分析した。 〔結果〕 1.障害別の外部行動変化の総出現回数は,精神発達遅滞児より自閉症児で高くなっていた。 2.部位別の出現回数は,自閉症児,精神発達遅滞児とも体で最も多く,ついで目・顔,口,音声の順であった。
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