研究概要 |
本実験における骨粗鬆症マウスへの10日間のNaF経口投与では飲水量,体重変化,血中F濃度は飲水中のF濃度に影響されないように見え,骨髄幹細胞の非特異エステラーゼ,クロロアセテート・エステラーゼ発現も影響されないように見える.過剰の食塩摂取が骨粗鬆症発症と進行に対する危険因子として長い間疑われてきたが,その影響度は危惧されるほど重大なものではないと思われる.しかし,多くの検討課題が残され(Cohen AJ&Roe FJ:Food Chem Toxicol 38,237-253,2000),骨髄幹細胞への影響は当然考えられる.本実験においては,所見の不安定さから,食塩の影響を視野に入れることも今後検討すべきかも知れず,さらに症例を重ねる必要性が感じられる. Puromycinaminonucleoside(PAN)腎炎ラットにおいて,皮質集合管の(Na^+/K^+)-ATPase活性上昇が尿中へのNa^+排泄阻害の本態であると報告され(Deschlnes G&Doucet A:J Am Soc Nephrol 11,604-615,2000),このことと上述のことに関わると思われるが,腎炎マウスにおいても所見の不安定さから,現段階においてはさらに症例を重ねる必要性が感じられた.本実験における腎炎マウスへの10日間のNaF経口投与では飲水量,体重変化,血中F濃度は飲水中のF濃度に影響されないように見え,骨髄幹細胞の非特異エステラーゼ,クロロアセテート・エステラーゼ発現も影響されないように見える.また,糖尿病ラットへのNaF投与時の血管拘縮がG蛋白を介するCa^<2+>チャンネル活性化に起因するとの報告(Hattori Y et al:J Pharmacol Ther292,761-768,2000)から,糖尿病におけるNaFの何らかの作用を予想させるが,糖尿病マウスへのNaF経口投与においても同様の所見を得た.
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