研究概要 |
平成11年度においては、それぞれ乳歯列、混合歯列、永久歯列をもつ小児の口腔内から、7種類の歯周病原性細菌をPCR法によって検出し、それぞれの小児の親の口腔から検出された歯周病原性細菌の検出を比較することで、Bacteriodes forsythus,Prevotella intermedia,Prevotella nigrescensの3菌種について、それぞれの菌を親が持っている子供の方が、親が持っていない子供より、検出頻度が有意に高かったことから、これらの菌の親から子への伝播の可能性が疑われた。また、特に病原性の高い歯周病原性細菌として知られているPorphyromonas gingivalisとActinobacillus actinomycetemcomitansに関しては、子供からの検出率が低かったため、親子における検出率の比較からの伝播の可能性は明らかにできなかった。そこで、平成12年度においては、特に強力な歯周病原性細菌として知られるA.actinomycetemcomitans,B.forsythus,P.gingivalisの3菌種においてAP・PCR法によるタイピングの方法を確立することで、それを明らかにしようとした。14種の参照株(A.a.9株、P.g.4株、B.f.1株)および94の臨床分離株(A.a.31株、P.g.39株、B.f.29株)を用いてDNAを抽出し、AP-PCRによって、それぞれ、6,8,および9種にタイプ分けすることができた。この方法を用いて、これらの菌における親子の伝播の有無について検索できるようになった。また、経時的な感染の有無についても以前採取した子供から再度口腔内よりサンプルを採取し、次年度にかけてまとめる予定である。
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