研究概要 |
歯周病細菌Porphyromonas gingivalisとActinobacillus actinomycetemcomitansの口腔内における棲息実態および感染・伝播経路を明らかにするために研究を行ない,以下の成果を得た。 1 P.gingivalisとA.actinomycetemcomitansを検出し,型別できる菌特異マーカー遺伝子としてP.gingivalisでは外膜蛋白遺伝子とA.actinomycetemcomitansでは線毛遺伝子を特定した。 2 外膜蛋白遺伝子を増幅するpolymerase chain reaction(PCR)によってP.gingivalisは2つの遺伝子型にまたA.actinomycetemcomitansはPCR-RFLP法によって4つの遺伝子型に型別できた。 3 59人の歯周病患者の歯周ポケット145部位について,P.gingivalisとA.actinomycetemcomitansの棲息実態をそれぞれの遺伝子型を指標に調べたところ,ほとんどの歯周病患者はP.gingivalisとA.actinomycetemcomitansのどちらかひとつの遺伝子型に感染していることが判った。 4 2例の歯周病を発症している家族症例を分析したところ,母子では同一の遺伝子型のP.gingivalisとA.actinomycetemcomitansが検出され,母子間の歯周病細菌の感染・伝播の可能性が疑われた。
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