研究課題/領域番号 |
11672089
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中尾 寿美 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (20102577)
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研究分担者 |
小方 頼昌 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (90204065)
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キーワード | 歯肉線維芽細胞 / シクロオキシゲナーゼ / 遺伝子 / 転写調節 / IL-1β / NFκB / プロスタグランジンE_2 / ゲルシフトアッセイ |
研究概要 |
アラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ2により合成されるプロスタグランジンE_2が炎症においては重要な役割を果たすことが知られている。しかし歯肉線維芽細胞におけるシクロオキシゲナーゼ2の役割に関連した報告は少ない。本研究では歯肉炎症のメカニズムを解明する目的で歯肉線維芽細胞におけるIL-1β刺激によるシクロオキシゲナーゼ2遺伝子の発現機構について検討を行った。 健康なヒト歯肉より得られた歯肉線維芽細胞を用いて以下の結果を得た。 チロシンリン酸化阻害剤(ゲニステイン、ハービマイシンA)をIL-1β刺激を行った歯肉線維芽細胞に作用させると、ノーザンブロティング法によるシクロオキシゲナーゼ2mRNAの発現が抑制された。これに反して、チロシンフォスファターゼ阻害剤(オルソバナジン酸)はシクロオキシゲナーゼ2mRNAの発現を亢進した。ゲルシフトアッセイにおいては、核タンパク抽出物とシクロオキシゲナーゼ2NFκBとの結合がゲニステイン、ハービマイシンAにより抑制された。プロスタグランジンE_2産生においてもゲニステイン、ハービマイシンAはIL-1β刺激によるプロスタグランジンE_2産生を抑制し、オルソバナジン酸をIL-1βと同時に作用させると、プロスタグランジンE_2産生は増加した。 以上の結果より、IL-1βはチロシンリン酸化を介するシクロオキシゲナーゼ2遺伝子発現を介してプロスタグランジンE_2を産生する事が示された。またシクロオキシゲナーゼ2遺伝子発現には転写因子であるNFκBが重要な役割を果たすことが示された。
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