研究課題/領域番号 |
11672092
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
熊田 秀文 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60120995)
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研究分担者 |
浜田 信城 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20247315)
石川 恵里子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (10104340)
小園 知 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40084785)
はい島 由二 国立医薬品食品衛生研究所, 療品部, 室長 (80228379)
高橋 祐介 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20267511)
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キーワード | 歯周病ワクチン / 粘膜免疫 / Porphyromonas gingivalis / 無毒化LPS / 線毛 / rCTB |
研究概要 |
Porphyromonas gingivalis(Pg)が誘因となる成人性歯周炎は、本菌が産生する組織障害性のプロテアーゼや患部への定着および炎症性サイトカイン誘導能を持つ線毛やエンドトキシン(LPS)の作用により惹起されると考えられている。しかし、同症の予防治療には現在有力な手段がない。申請者らは、Pgの病原因子でもあるPg線毛を免疫抗原とし、アジュバントとしてリコンビナントコレラトキシンBサブユニット(rCTB)を併用して経鼻的にマウスに投与することにより、Pg線毛に対する全身性IgG,IgA抗体および分泌型IgA抗体を強力に誘導できることを明らかにした。 本年度は、線毛/rCTB抗原の安全性評価ならびに免疫応答を病理・免疫組織学的に行った。Pg線毛(5μg)/rCTB(10μg)投与群の鼻粘膜組織に軽度の炎症細胞浸潤が認められたが、他の実験群に著しい病的変化は全く認められなかった。同実験群の鼻粘膜に肥満細胞は観察されなかった。また、対照群と比較して、実験群ではNALTの腫大が観察され、リンパ濾胞の形成も認められると共に、実行組織である鼻粘膜組織にIgA陽性形質細胞が観察された。線毛抗原の経鼻投与による局所並びに全身性免疫応答免疫応答は、NALTを介して誘導されていることが明らかになった。一方、肺所見では、Pg線毛(5μg)/rCTB(10μg)共投与群の気管支周囲に炎症性細胞浸潤が比較的強く認められた。これは、経鼻に抗原を滴下投与する際の、肺への誤飲が原因と思われる。さらに、無毒化LPS/rCTBワクチンの抗体誘導能を検討した結果、弱ヒドラジン処理によりエンドトキシン活性を除去したPg-LPS(500μg)/rCTB(10μg)および弱ヒドラジン処理LPSを更に化学修飾してrCTBとSPDPにより架橋した無毒化LPS/rCTBコンジュゲート投与群を経鼻免疫しても、いずれの免疫群においても血清IgG抗体価の誘導は認められなかった。今後、Pg生菌感染による歯槽骨の吸収を指標とした歯周病モデル動物を開発し、線毛ワクチンによる歯周病予防効果を評価する予定である。
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