研究概要 |
細胞間マトリックスの主成分であるグリコサミノグリカン(GAG)やプロテオグリカン(PG)は生体内で多彩な役割を担っており、歯周組織破壊において出現するGAG種に特徴があることが知られている。ウィスター系ラット(20週齢)の歯肉を外科用メスにて歯槽骨頂より切除した。3,7,14日目に屠殺し切除部位を固定後パラフィン切片とし、各種抗GAGプロテオグリカンモノクローナル抗体およびヒアルロン酸結合タンパクを用いた免疫組織化学を行いGAG種の局在を検討した。その結果、初期には歯肉組織修復にともなう上皮の進展に伴いヒアルロン酸が強度に認められた。また歯肉結合組織ではコラーゲン線維の走行に沿ってデルマタン硫酸やコンドロイチン硫酸が認められた。歯肉組織修復においてもGAGは大きく関与することが示唆された。またデコリン、バーシカンのDNAプローブを作製し、ヒト歯肉組織切片上でIn situ hybridyzationを行ったところデコリンのmRNAの発現が上皮基底膜直下の結合組織に見られた。さらに培養ヒト歯肉線維芽細胞、歯根膜由来細胞上清のヒアルロン酸産生をヒアルロン酸結合タンパクを用いたELSA法で検討したところ、各種の炎症性因子によりその産生量に変化がみられた。またヒアルロン酸の添加により培養細胞数に変動がみられた。 以上の結果よりGAG、PGは歯周組織細胞の代謝に関与していることが示唆された。
|