研究概要 |
アート錯体は、その中心金属上のマイナス電荷を配位子を転移させることおよび中心金属の酸化数を変化させることにより解消できる。これまで、筆者が研究を行ってきた亜鉛アート錯体では亜鉛原子が酸化還元に関与できないため、配位子の転移によってのみマイナスを解消すると考えられるが、今回の鉄およびコバルトアート錯体では、中心金属の酸化によってマイナスを解消していると考えられる。従って、配位環境変化によって能力の異なるラジカルが発生できるものと考えられる。そこで、配位環境変化がアート錯体の反応性に及ぼす効果をEXAFS,NMR,ReactIR,およびRamanスペクトル等を用いて直接的な構造変化を明らかにした。また、そこで得られた知見をもとにab initio計算および密度汎関数法を用いて理論的に、アート錯体とラジカルの関係および配位環境変化によるラジカルの制御について明らかにできた。 さらに本反応の触媒化にも成功し,様々な一電子移動反応へと応用可能であることを明らかにした.
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