1.フェナンスリジン型塩基の合成への一般性の検討 (1)フェナンスリドン骨格の合成 既に我々はパラジウム試薬によるアミド化合物の分子内aryl-arylカップリング反応を用い、ケレリスリンをはじめとする数種のアルカロイドの合成に成功している。その際に新規に開発したPd(OAc)_2-二座配位リンリガンド-PBu_3を用いれば、脱離基がハロゲンのみならず、OTfの場合にも収率よくカップリング反応が進行することを明らかにした。 さらに本法を用い、ニチジン、ノルケレリスリン、12-メトキシジヒドロケレリスリン、トリスフェリジン等の合成に成功し、その一般性を明らかにした。その際、フェナンスリドン骨格の合成において、脱離基がアミン側にある場合、閉環が2ケ所で起こることを見いだした。特に酸素官能基の性質により、その選択性が明らかに異なるが、その理由は不明である。 (2)テトラヒドロフェナンスリドン骨格の合成 ヒガンバナ科植物に含まれる表記骨格の塩基の一般的合成法の開発を目的とし、アリール-アルケンの結合反応を検討した。特にアミン部がアルケンの場合、望む立体配置で選択性よく目的化合物が生成することを明らかにした。現在、天然物合成への応用を検討中である。 (3)フェナンスリドン骨格合成の際の脱離基の反応性の相異の検討 カルボン酸部に2種類の脱離基を有するアミドの閉環反応を検討した。IおよびOTf、BrおよびOTfについて検討を加えたが、Iの反応性が高く、常にIの位置で結合が起こり、任意の脱離基の場所での結合生成反応の条件の確立には成功しなかった。
|