研究概要 |
種々のアリールアルキルケトンとビス(トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸メチルあるいは2-フルオロ-2-ジエチルホスホノ酢酸エチルのHWE反応をスズ(II)トリフラート-N-エチルピペリジン条件下に実施した。その結果、フェニルアルキルケトンのみならず、o-トリルメチルケトンや3,5-キシリルメチルケトン、p-メトキシフェニルメチルケトン、p-(トリフルオロメチル)フェニルメチルケトン、p-ニトロフェニルメチルケトンの場合も反応は立体選択的に進行した。すなわち、ビス(トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸メチルとのHWE反応はZ選択的(17:83〜2:98)であり、2-フルオロ-2-ジエチルホスホノ酢酸エチルとのHWE反応はE選択的(97:3〜>99:<1)であった。 各種アリールアルキルケトンを基質とした2-アルキル-2-ビス(トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸メチルのHWE反応においては、スズ(II)トリフラート-N-エチルピペリジン条件下、目的とするα,β-不飽和エステル(四置換オレフィン)が高立体選択的に生成した。例えば、2-メチル-2-ビス(トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸メチルとフェニルエチルケトンのHWE反応ではZ体の四置換オレフィンがE:Z=7:93の高い立体選択性で得られた。 次年度は1,3-ジオキサンを基本骨格とした種々のプロキラルケトンについての不斉HWE反応を実施しするとともに、それに続く軸性キラリティー化合物から中心性キラリティー化合物への不斉転位反応の詳細な検討を計画している。
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