研究概要 |
塩素酸ナトリウムをイオン対試薬とする分取HPLCを用いて、生理活性を有するアルカロイド類の分取を行い、ケニア国産バンレイシ科(Annoaceae)植物Monodora junodii, Xylopia parvifloraならびにMonanthotaxis fornicataに適用して多数の3,4級イソキノリンアルカロイド類を単離しその構造を決定した。そのなかには新規化合物5種を含んでいる。精製した化合物について次の活性試験を行った。 1.抗マラリア活性を調べた結果ではプソイドベルベリンアルカロイド類、特にpseudocoptisine, pseudoberberineに強い活性を認めた。 2.E.coliをはじめ5種の菌に対する抗菌活性を検討した結果では、アポルフィンアルカロイドについて活性を認め、特に1,2-位にメチレンジオキシ基を有する化合物の活性が高かった。 3.Monanthotaxis fornicataについて抗腫瘍活性を調べる目的で単離したアルカロイド類のヒト白血病細胞株HL-60に対する増殖抑制作用を検討した結果、いくつかのベンジルイソキノリンアルカロイドに活性を認めた。 4.Xylopia parvifloraのアルカロイドの鎮痛活性を検討したところ、強い活性を認めた。特に4級アルカロイド画分の活性が強い。この植物のアルカロイドは極めて多種類であるので、特に活性の強い成分の同定が今後の課題である。 本課題で研究した分取法は、全く同一の溶媒系でアルカロイドだけでなくフラボノイドの分取にも使用できる(イオン抑制法として)。そこで日本、中国、アフリカなど多くの薬用植物から種々のフラボノイドを単離し、構造を確認した。得られたフラボノイド類について抗酸化活性、抗腫瘍活性を検討し、HL-60やヒト大腸ガン培養細胞(WiDR)に強い増殖抑制活性を持つフラボノイドを見いだした。
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