研究概要 |
本年度は、主として一般化加法モデルの検討を行った.即ち、 1) 一般化加法モデル(GAM)にコンピュータ集約型検定法(EfronらのBootstrap法及び我々のグループによる拡張シフト検定法)を導入、GAM法における予測変数の有意性検定への道を開いた.データとしては、S-Plusに付随しているKyphosisデータを用い、Boostrap法を用いて3つの予測変数、Start,Age,Numberの偏回帰プロットにより偏回帰曲線の信頼性を求め、更に,拡張シフト検定法を用いて導かれる背景点ヒストグラムより、各予測変数の有為性検定を行ったところ、臨床的知見とほぼ等しい結果を得ることができた. 2) GAM法とANN法による推測及び予測性の検討を行った.食道癌へのリスクファクター(各種アルコール摂取の程度、喫煙の有無など)と、子宮内膜癌へのリスクファクターの解析に両者を適用、双方ともに有用であることが証明されたが、両者が同程度の予測性を示すなら、ブラックボックスに近いANN法を用いる必要はないことになる。 以上の結果より、GAM法は医薬学分野、特に臨床疫学や薬剤疫学の分野において有用であり、いくつかの欠点は、コンピュータ集約型検定法を用いることにより補えることが判明した.今後、GAM法の改良も視野に入れ、ACE法などと共に、ANNとの比較を行ってみる予定である. なお、これらの結果のうち、前者については第25回情報化学討論会(米沢)で発表、また、後者については、日本薬学会120年会(岐阜)におけるシンポジウム、「計量薬学〜薬学の新たな領域」で発表する予定である.
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