研究課題/領域番号 |
11672144
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中村 純三 長崎大学, 薬学部, 教授 (30115901)
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研究分担者 |
向 高弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (30284706)
佐々木 均 長崎大学, 医学部・附属病院, 教授 (00170689)
西田 孝洋 長崎大学, 薬学部, 助教授 (20237704)
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キーワード | 肝臓 / 薬物送達 / 肝臓表面投与 / phenol red / DDS / ラット / CMC / 粘性製剤 |
研究概要 |
肝臓は生体の恒常性維持に重要な役割を果たしているため、肝疾患には生命を左右するような重篤なものが多く、有効な薬物療法を確立しなければならない。肝臓の病巣部位のみへ薬物を送達する方法として、病巣部位近傍への直接投与が考えられる。我々は、薬物の新規投与形態として肝臓表面への直接投与を提案し、モデル薬物を投与した場合の吸収機構に関する基礎的知見を得てきた。実際の臨床応用において、肝臓への持続的な薬物送達を目的として肝臓表面投与を行う場合、肝臓表面近傍での薬物の滞留性と徐放性を制御することは、重要な研究課題である。本研究では、薬物の肝臓内分布を時間的・空間的に制御できる肝臓表面投与製剤の開発を目的として、肝臓表面からの薬物吸収に及ぼす粘性製剤の影響について検討を加えた。 モデル薬物としてphenol red(PR)を用いた。Pentobarbital麻酔下、Wistar系雄牲ラットに緩衝液(pH7.4)に溶解させたPRを、肝臓表面に装着したガラス製拡散セル内に投与し、血液および胆汁を経時的に採取した。実験終了後、尿およびガラス製拡散セル内に残存する薬液を回収した。PRの定量は、吸光光度法により行った。 粘性添加剤としてcarboxymethylcellulose sodium saltを加えて投与薬液の粘度を増大させた場合、粘度の増加に伴いPRの最高血中濃度が減少し、一次吸収速度定数は有意に低下した。これらの結果より、粘性製剤は、肝臓表面投与製剤として薬物の滞留性と徐放性を制御できる可能性が示唆された。
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