研究概要 |
1.当研究室で開発した蛍光ラベル化試薬,4-(4,5-diphenyl-1H-imidazol-2-yl)benzoyl chloride (DlB-Cl)を用いて,覚せい剤関連化合物の高感度HPLC-蛍光定量法を開発した.本法は,5×10^<-8>M-2×10^<-5>M のp-hydroxyamphetamine,1.25×10^<-7>M-2×10^<-5>Mのamphetamine(AP),methamphetamine(MP)およびephedrineが定量できる.検出下限は,0.6-5.2fmol on column(S/N=3)と非常に高感度である.MP摂取被疑者の尿6検体を分析した結果,いずれの試料からもAP,MP,p-HAPおよびephedrineが検出された. 2.MP摂取被疑者の毛髪中の覚せい剤の定量を検討した.毛髪からの薬物の抽出を検討した結果,毛髪を約0.5cm程度に切断し,界面活性剤,EtOHで洗浄後,水洗風乾しHCl-MeOHで抽出すると効率良く抽出できることが分かった.6名のMP摂取被疑者から得た毛髪の各1cm間隔の覚せい剤を定量した結果,それぞれ数〜百数十ngレベルの覚せい剤が検出され,約3〜6ヶ月にわたって覚せい剤を摂取していた経過を明らかにすることができた. 3.覚せい剤の光学異性体分離検出を検討した.DlB-Clを用いて蛍光体に導いた覚せい剤をキラルカラムで分離後,蛍光検出した.約45分でp-HMP,AP,MPのそれぞれのエナンチオマーを一斉分離することができた.4種の毛髪試料からはいずれもS(+)体が検出され,R(-)体は見い出されなかった. 今後,システムのミニチュア化を計り,より経済的で効率の良い分析法を確立したいと考えている.
|