研究概要 |
1.前年度に開発した覚せい剤のHPLC-蛍光検出法を更に簡便化する目的でシステムのダウンサイジング化を試みた.すなわち,セミミクロカラムを用いたHPLCを検討した.その結果,4-(4,5-diphenyl-1H-imidazol-2-yl)benzoyl chloride(DIB-Cl)を蛍光ラベル化試薬として,覚せい剤を誘導体化し,アキラルあるいはキラルカラムにより分離検出した場合,いずれも良好な分離ができた.尿試料10μLを乾固して残さを誘導体化するだけの簡便な方法であり,操作時間の短縮や溶離溶媒の節約を図る事ができ,より経済的な分析法を確立できた.また,本法は非常に高感度であり,amol〜fmolレベルの検出が可能である. 2.セミミクロカラムHPLCを用いて,覚せい剤摂取被疑者の毛髪の分析を試みた.覚せい剤摂取被疑者の毛髪1cm画分の分析が可能であった.詳細に検討した結果,毛髪採取部位が同じであっても毛髪それぞれに含まれる覚せい剤量はかなり異なること,白髪と黒髪では黒髪の方が含量が多いこと,含まれるた覚せい剤はすべてd-体であること,などを明らかにすることができた. 以上,セミミクロカラムを用いる覚せい剤関連化合物のキラルおよびアキラルHPLC分析法を開発した.簡便で高感度であることから,色々な分野で利用できるものと考える.
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