研究課題/領域番号 |
11672147
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
葛谷 昌之 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (10082984)
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研究分担者 |
近藤 伸一 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (90240944)
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キーワード | プラズマ表面処理 / メカノリシス / ラジカル / 薬物送達システム(DDS) / 遅延型速放錠 / 乾式DDS / 架橋反応 / モノリティック型DDS |
研究概要 |
本研究では、前年度までの研究において得られたプラズマ照射高分子ラジカルの構造に関する知見を基に、完全ドライプロセスにおける薬物送達システム(DDS)製造法への応用研究に着手した。まず、医薬品を核錠とし、外層に水溶性で、かつプラズマ架橋性高分子を用いた二重錠剤を調製し、プラズマ表面処理による薬物放出制御を検討した。これまでの研究により得られた高分子構造とプラズマ照射効果との関係に関する知見を基に数種類の高分子医薬品添加物を選択して検討した結果、長時間のラグタイムの後、速やかに薬物を放出する遅延型速放錠の構築が可能であることを明らかにした。このような遅延型速放錠は、近年その開発が望まれている喘息治療などの時間制御型DDSとして、また、大腸疾患などの臓器特異的DDSとして応用が大いに期待される。また、医薬品添加物の中でセルロース誘導体はメカノリシス(粉砕)により主鎖型ラジカルを生成し、架橋反応が進行することを見出している。そこで、代表例として医薬品添加物として汎用されているエチルセルロース(EC)を選び、ECと医薬品との混合粉砕によるワンステップで、かつ乾式でのモノリティック型DDSの構築についても検討した。その結果、ECと医薬品とを単純に混合した場合は速放性であるのに対し、本方法により得られたものは明らかに徐放性を示し、モノリティック型DDSの構築が可能であることが示唆された。 以上の知見より、プラズマ表面処理およびメカノリシスにより生成するラジカル構造の解明を基に、様々な薬物放出特性を有する乾式DDSの製造が可能であり、今後さらに新しい医薬学応用研究への展開が大いに期待できる。
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