研究概要 |
本研究では,モレキュラーインプリンティング法のための自動化ポリマー合成・評価システムを構築し,系統的に自動合成されたモレキュラーインプリントポリマーライブラリを評価することにより,認識しようとする鋳型分子に最適な機能性モノマー,溶媒,反応条件などを簡便かつ迅速に見出すコンピュータ支援コンビナトリアルモレキュラーインプリンティング法を開発し,実際にその有用性をモデル化合物を用いて実証することを目的とした。 昨年までに、コンビナトリアルケミストリーの概念を応用した、「コンビナトリアルモレキュラーインプリンティング法」の有用性を示せたので,本年度は、さらに効率の高い人工レセプター合成・評価システムを確立することを目的として、蛍光をもつシンコニジン(CD)をモデル認識対象分子とし、CDインプリントポリマーライブラリーの合成を行い、ポリマーへのCDの結合を蛍光マイクロプレートリーダーを用いて定量することを検討した。すなわち、CD溶液と反応させたポリマーについて蛍光マイクロプレートリーダーによる蛍光強度測定を行うと同時に、反応後の上清をフローインジェクション分析(FIA)することにより結合量を算出し、蛍光強度-結合量間にどのような関係があるのか比較し、新規のポリマー評価法として用いることができるか検討を行った。 結合量と蛍光強度の関係より、CDの結合量が0-0.02・molの領域では、結合量-蛍光強度の間には直線関係があり、マイクロプレートリーダーを用いた蛍光測定により結合量を見積もることが可能であることが示された。一方、結合量が0.02・mol以上の領域では濃度消光がおき、蛍光強度の減少が見られた。他のポリマーについても同様の結果が得られた。また、従来10時間掛かったポリマー評価を数秒で行うことが可能になった。
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