研究課題/領域番号 |
11672176
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
臼井 茂之 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (40176665)
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研究分担者 |
宇佐美 好子 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (10232810)
平野 和行 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90057365)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 増殖抑制因子 / マクロファージ / 抗腫瘍グルカン / カルボキシメチルカードラン / 好中球 / サイトカイン / 腫瘍退縮因子 |
研究概要 |
我々は、抗腫瘍グルカンであるカルボキシメチルカードラン(CMCD)がマウス腹腔マクロファージやマウス白血病細胞P388D1に直接作用し、これらの細胞から血管内皮細胞に対する増殖抑制活性を誘導することを見出した。また、sarcoma180肉腫の担癌マウスにCMCDを腹腔内あるいは静脈内投与した場合に、血清中に血管内皮細胞増殖抑制活性を確認した。そこで、CMCD存在下に培養したP388D1の培養上清を硫安分画後、Hydroxyapatite、Q-Sepharose、Sepahcryl S-300、PBA30、PBE94の各種カラムクロマトグラフィーを用いて血管内皮細胞増殖抑制因子(EGSF)の精製を行った。精製標品のSDS-PAGE分析の結果、55と63kDaの2種のタンパク質を確認したが、ゲル濾過法では本因子の分子量が約65kDaであったので、本精製標品は部分精製品である判明した。これ以上の精製を試みたが、本因子は回収されず、従って、部分精製品を用いて性状を解析した。本困子は、マクロファージから分泌され且つ血管内皮細胞増殖抑制活性を有するサイトカイン類TNF-α、IL-1、TGF-βとは分子量及び抗体との反応性の点で異なっていた。本因子の血管内皮細胞増殖抑制作用は数ngオーダーと非常に強力であり、血管内皮細胞に特異的であった。本因子はマクロファージと好中球の接着能や透過能、更に、マクロファージのNO産生能を亢進したが、リンパ球増殖や接着には影響を及ぼさず、マクロファージと好中球の活性化因子であることが判明した。更に、本因子が腫瘍退縮活性を有することを認め、抗腫瘍多糖による腫瘍退縮メカニズムの一つとして、本因子の誘導による血管内皮細胞増殖抑制に基づくことを明らかにした。
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