脂肪細胞特異的蛋白質GBP28の生理機能を解明する目的で本研究を行った。 GBP28は28kDaの蛋白質がコラーゲン様領域を介して3量体を形成し、その3量体が更に4つ或いは6つ集合した多量体を形成している。GBP28が生理的に機能するためには、この多量体の形成が重要であるとの予測から、本蛋白質の多量体形成にシステインがどの様に係っているのかを調べた。先ず初めに、野生型の組換えGBP28蛋白質をCHO細胞で発現させ、培地中に分泌された組換えGBP28の諸性質を血清から精製したGBP28と比較検討した。糖鎖の付き方が血清由来のGBP28と若干異なっていたが、電気泳動の挙動、ゲル濾過のパターンなど、調べた範囲では組換えGBP28蛋白質は血清由来のものと、多量体形成に関して差異は認められなかった。次に、本蛋白質N末側とC末側に含まれる2箇所のシステインのうち、どちらか一方をセリンに置換した変異体、また両方をセリンに置換したを作成する事を試みた。C末側のシステインを置換した場合には、野生型と同程度のモノマーの発現が認められたが、多量体を形成していなかった。一方、N末側のシステインを置換した場合には、培地中にはウエスタンブロットでGBP28のバンドを検出する事が出来なかった。しかし、RP-PCRによりmRNAの存在を調べたところ、N末側の変異休も野生型と同程度のmRNAの発現が確認できた。C末側のシステインは置換しても3量体は僅かながら形成されているが、N未側のシステインは置換する事により細胞内で何らかの異常が生じ蛋白質が分泌されないことが予測された。これらのことから、GBP28の多量体形成にはシステインが重要な役割を果たしている事が明確となった。
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