抗腫瘍活性があると文献に記載されていたり、民間にそのように伝承されている生薬、および植物20種類をヘキサン、エチル酢酸、メタノールで抽出し、各抽出液を白血病HL60細胞に加え、アポトーシス誘導活性を測定した。その結果、山豆根のヘキサン抽出液中にアポトーシス誘導活性を検出した。抽出液を薄層クロマトグラフィーで展開したところ、活性のあるスポットを確認した。そこで活性のあるスポットを指標にして、粗抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、JNK(c-Jun N-terminal kinase)の活性化型であるリン酸化JNKに対する抗体を用いたウスタンブロットにより活性フラクションを調製した。活性フラクションは、核に対する凝集活性も有しており、アポトーシス誘導活性体であった。活性体の化学構造をNMR、質量分析、元素分析から、アポトーシス誘導作用に関する報告のないフラボン誘導体と決定した。このフラボン誘導体を用い、種々の癌細胞株に対する増殖抑制活性を測定した結果、白血病細胞のみならず種々の固形癌細胞に対しても20μM以下の濃度で癌細胞の増殖を抑制した。また、核のヘキスト染色法により調べたアポトーシス誘導能は、他のフラボノイド化合物であるダイゼイン、ゲニスタイン、ケルセチンよりも顕著に強かった。
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