ヒトマクロファージ細胞表面に存在が想定される酸化細胞認識機能を持つレクチン様タンパク質(ポリラクトサミンレクチン:PLL)について、構造と機能に関する検討を継続した。 1.ヒトマクロファージPLLの構造解析 単離したPLLの部分アミノ酸配列情報をもとに、PCR法にてヒト細胞のcDNAライブラリーから候補タンパク質をクローニングした。このcDNAがコードするタンパク質が酸化細胞認識機能を有するかなどの同定作業に入った。 2.PLLの発現及び機能解析 上記タンパク質の部分アミノ酸配列に対する各種の抗体を作成し、これらの抗体がマクロファージによる酸化細胞の認識を阻害することを確認し、クローン化したタンパク質がPLL活性を持つことが強く示唆された。また、この抗体がマクロファージによるアポトーシス細胞の認識をも阻害することを確認し、PLLがアポトーシス細胞をも認識することを明確にした。 3.PLLの酸化細胞、アポトーシス細胞認識機構 酸化細胞、アポトーシス細胞の細胞膜糖タンパク質抗原CD43が、クラスタリングしていることを見いだし、CD43クラスタリングにより細胞表面に生成した糖鎖クラスターをマクロファージはPLLを介して認識していることを明らかにした。
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