研究概要 |
内在性μ-オピオイド受容体作動薬(endomorphin-1およびendomorphin-2)の学習・記憶障害誘発作用におけるμ-オピオイド受容体サブタイプとコリン作動神経系の関与について行動薬理学的に検討した. Endomorphin-1およびendomorphin-2によって自発的交替行動は有意に減弱したが,自発運動はほとんど影響されなかった.μ_1-オピオイド受容体拮抗薬naloxonazine単独は,自発的交替行動や自発運動にほとんど影響しなかった.Endomorphin-1による自発的交替行動の低下はnaloxonazineにより有意に抑制されたが,endomorphin-2による自発的交替行動の減少はnaloxonazineによる影響を受けなかった. Endomorphin-1およびendomorphin-2による自発的交替行動の低下は,コリンエステラーゼ阻害薬physostigmineの併用により抑制される傾向が見られたが,自発運動については変化が見られなかった.なお,physostigmine単独は,自発的交替行動や自発運動にほとんど影響しなかった. Endomorphin-1およびendomorphin-2は受動的回避学習を有意に抑制したが,naloxonazineあるいはphysostigmine単独は受動的回避学習にほとんど影響しなかった.Endomorphin-1およびendomorphin-2による受動的回避学習障害は,naloxonazineとphysostigmineにより有意に抑制された. 以上の結果より,内在性オピオイドによる記憶障害には,μ_1-オピオイド受容体とコリン作動神経系の関与が示唆された.
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