研究概要 |
痴呆関連ペプチドによる研究の一環として内在性μ-オピオイド受容体作動薬endomorphin-1および-2に着目し、それらの短期および長期記憶に及ぼす作用を検討した.さらに,新規抗痴呆薬についての探索研究を行った. 1)Endomorphin-1および-2による短期および長期記憶障害はμ-オピオイド受容体拮抗薬β-funaltrexamineの併用により有意に改善された. 2)Endomorphin-1による短期記憶障害はμ1-オピオイド受容体拮抗薬naloxonazineにより有意に改善されたが、endomorphin-2による短期記憶障害はnaloxonazineによる影響を受けなかった.Endomorphin-1および-2による長期記憶障害は、naloxonazineとコリンエステラーゼ阻害薬physostigmineにより有意に改善された. 3)ドパミンD2受容体作動薬RU24213はendomorphin-1あるいはendomorphin-2による長期記憶障害に対してほとんど影響しなかったが,ドパミンD2受容体拮抗薬(-)-sulpirideはendomorphin-2による長期記憶障害を改善した. 以上の結果より,endomorphinsによる記憶障害にはμ1-オピオイド受容体,ドパミンD2受容体とコリン作動神経系の関与が示唆された.さらに,μ1-オピオイド受容体拮抗薬の新規抗痴呆薬としての有用性が示唆された.
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