研究概要 |
平成12年度までの出芽酵母ゲノムの解析から我々が新規に見出したヘリカーゼ様遺伝子のうち、増殖に必須でない遺伝子YNL218wについて、酵母two-hybrid系で観察された蛋白質との相互作用を確認するために、相互作用が検出された遺伝子のクローニング、大腸菌での蛋白質発現、および遺伝子タグを付加した蛋白質発現株の構築を行った。Yn1218wpについてはATPaseドメインを含む変異体遺伝子の作成を進めた。本遺伝子欠損株ではDNA組換えに欠損が見られるとの報告もあることから、一連の複製関連蛋白質との相互作用についても合わせ検討したが、少なくともYn1218wpとSGS1ヘリカーゼおよびRFC small subunitとの間では相互作用は検出できなかった。さらに新規遺伝子(YDR332W, YGL064C, YOL095C)の欠損株では、グリセロールなどの非発酵性糖原を含む培地で顕著な贈殖抑制が観察され、呼吸欠損の表現型を示すことを新たに見出した。これらの遺伝子産物はミトコンドリア機能に関与することが予想されるため、現在、詳細な解析を進めている。 また出芽酵母の新規ヘリカーゼ様遺伝子の線虫ホモローグをデータベース検索により同定し、RNAiによる遺伝子機能破壊による機能解析を進めた。昨年度までのパイロット実験を拡大させ、相当する線虫の全遺伝子について機能破壊実験を行ったところ、(表現型は弱い場合があるものの)酵母破壊株の表現型と良い相関が認められたことから、少なくとも両者で保存されている遺伝子産物については、種を超えて共通の機能を果たしていることが示唆された。
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