(1)我々は以前にLPSによりジグリセリド(DG)が産制され、これがNF-κB活性化に必須であることを明らかにした。本研究では、LPS刺激によりマクロファージ細胞の細胞質中のRhoAが膜へ移行し、これが引き金になってPLD/PAPが活性化されたことを明らかにした。 (2)LPSによるマクロファージ活性化にはTLR4を介するシグナル伝達が重要であることが近年明らかにされている。lipid Aの構造類似体がLPSのアンタゴニストとして作用することが知られているが、これらアンタゴニストのTLR4を介するシグナル伝達への作用を解析した。その結果、lipid Aの構造類似体アンタゴニストB464とRSM256はLPSがCD14と結合した後のステップを阻害すること、そしてLPS-アンタゴニスト作用はTLR4を介するシグナル伝達の制御であることを示す結果を得た。 (3)抗癌物質タキソールは構造的にはLPSと全く異なっているが、マウスのマクロファージに対してLPS様活性を示すことがこれまでに知られていた。そこでタキソールのLPS様刺激の分子メカニズムを解析した。その結果、TLR4・MD-2複合体がLPSだけでなくタキソールのシグナルも伝えることが明らかとなった。また、タキソールはマウスではLPS様活性を示すがヒトではLPS様活性を示さないことが知られているが、TLR4・MD-2複合体の種差がタキソール感受性の種差の原因になっていることも明らかにした。
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