研究概要 |
前年度、ビタミンCの側鎖を除きラクトン環内の酸素原子を炭素に置換した化合物reductic acid(RA)はビタミンCとほぼ同等の抗酸化活性を有するだけでなく、活性酸素生成系であるxanthine oxidaseを阻害することを見いだした。RAは活性酸素・フリーラジカルを消去するのみならず、生成を抑制する有効な医薬品のリード化合物になると考え、RAを基にした構造変換を行った。ビタミンCの環内酸素を硫黄原子に置き換えた化合物1、RAのカルボニル基を除いた化合物2を合成し、またRAのエンジオール基をカルボニル基に変換した化合物3(1,3-cyclopentadione、市販品)のxanthine oxidase阻害活性を検討した。しかし、化合や1、2,3にはビタミンC同様xanthine oxidase阻害活性は認められなかった。以上の結果からxanthine oxidase阻害活性にはカルボニル基と共役したエンジオール基が必要であり、さらに環内ヘテロ原子はxanthine oxidase阻害活性を消失させることが明らかとなった。また抗酸化活性に関しては1はビタミンCと同等であり、かつRAも抗酸化活性を有していたことから、ビタミンCの環内酸素原子は変換可能であることがわかった。さらにRAのプロオキシダント効果を酸素吸収法で金属存在下検討した。今回開発した、酸素吸収法は酸素分子が活性酸素などに変換される反応を酸素消費から求める方法であり、カタラーゼ存在下と非存在下での変化などから過酸化水素生成能などを測定できる簡便な方法である。本法を用いてビタミンCとRAのプロオキシダント効果を比較したところ、若干ではあるが、RAの方が低かった。以上の結果は、RA以上に有効な化合物をデザインするうえで重要である。
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