活性酸素・活性窒素種の発生および消去に関わる生体制御物質の開発研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11672222
• 研究機関: 独立行政法人放射線医学総合研究所
• 研究代表者: 伊古田 暢夫 放射線医学総合研究所, 第一研究グループ, 研究員 (80159649)
• 研究分担者: 中川 秀彦 放射線医学総合研究所, 第一研究グループ, 研究員 (80281674)
• キーワード: 活性酸素 / 活性窒素 / パーオキシナイトライト / スーパーオキシド / ヒドロキシルラジカル / 抗酸化剤 / スピントラッピング法 / フラボノイド

研究概要

生体にとって有害である活性酸素種として、スーパーオキシド(O_2^-)、およびヒドロキシルラジカル(OH・)、活性窒素種としてパーオキシナイトライトについて、それらに対する消去化合物を天然物から抽出、あるいは合成し、それらの消去能をスーパーオキシドとヒドロキシルラジカルに関してはESRを用いるスピントラッピング法、パーオキシナイトライトに関しては、チロシンのニトロ化の生成を指標とするHPLC法にて評価した。今回用いた抗酸化剤は、カルコン、5-メトキシトリプタミルカフェイン酸アミド、アップルフェノン(りんご抽出物、ポリフェノール混合物)、RK-160,RK-02B(甘草抽出物、フラボノイド)、トロロックス(合成水溶性ビタミンE)である。スーパーオキシドはヒポキサンチン-キサンチンオキシダーゼ系で生成させ、スピントラップ剤としてDMPOを用い、生成したDMPO-O_2^-)付加体をESRにて定量し、抗酸化剤存在下DMPO-O_2^-)付加体の生成阻害を調べた。またヒドロキシルラジカルは、銅-エチレンジアミン/過酸化水素系で発生させ、同様にDMPOを用いてDMPO-OH付加体を生成させESRにて定量した。スーパーオキシドに対するIC50はカルコン:0.02mM;5-メトキシトリプタミルカフェイン酸アミド:0.005mM;アップルフェノン;0.002mM;RK-160:5mM;RK-02B:0.004mM;トロロックス:0.4mMであった。またヒドロキシルラジカルに対するIC50はカルコン:0.125mM;5-メトキシトリプタミルカフェイン酸アミド:0.05mM;RK-160:5mM;RK-02B:0.1mM;トロロックス:7.5mMであった。パーオキシナイトライトに対するIC50は、カルコン:7μM;RK-160:40μM;RK-02B:18μM;トロロックス:17μMであった。この結果からアップルフェノンやカルコン類などのポリフェノール含有化合物、およびRK-O2Bのようなフラボノイドカテコール誘導体に強い消去作用が認められた。

研究成果

• [文献書誌] Nakagawa,H.,Sumiki,E.,Takusagawa,M.,Ikota,N.,Matsushima,Y.,and Ozawa,T.: "Scavengers for Peroxynitrite : Inhibition of Tyrosine Nitration and Oxidation with Tryptamine Derivatives, α-Lipoic Acid and Synthetic Compounds"Chem.Pharm.Bull.. 48. 261-265 (2000)
• [文献書誌] Hidehiko Nakagawa,Takashi Moritake,Koji Tsuboi,Nobuo Ikota and Toshihiko Ozawa: "Induction of Superoxide in Glioma Cell Line U87 Stimulated with Lipopolysaccharide and Interferon Gamma : ESR Using a New Flow-type Quartz Cell."FEBS Lett.. 471. 187-190 (2000)
• [文献書誌] Takao Ueda,Toshiaki Irie,Kiyoshi Fukushi,Nobuo Ikota,Keizo Takatoku,Isamu Yomoda,Shinichiro Nagatsuka: "Synthesis of N-Methyl-3-(1-Hydroxy-5-[^<123>I]Iodopent-4-enyl)-4-Acetoxypiperidine, A Novel Candidate of Acetylcholinesterase Activity Imaging Agent"J.Labelled Cpd.Radiopharm.. 43. 753-765 (2000)
• [文献書誌] Kikuchi Tatsuya,Fukushi Kiyoshi,Ikota,Nobuo,Ueda,Takao,Nagatsuka,Shin-ichiro,Arano,Yasushi,Irie,Toshiaki,1: "Synthesis of Piperidinyl and Pyrrolidinyl Butyrates for In Vivo measurement of Cerebral Butyrylcholine sterase Activity."J.Labelled Cpd.Radiopharm.. 43(in press). (2001)
• [文献書誌] H.Nakagawa,N.Ikota,and T.Ozawat,Y.Kotake: "L-Arginine dependent nitric oxide formation in mice following exposure to ionizin radiation as quantified by electron paramagnetic resonance"Nitric Oxide : Biology and Chemistry. (in press). (2001)