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1999 年度 実績報告書

アミロイド形成ペプチドの細胞膜侵入と毒性発現に及ぼす細胞膜表面脂質の影響

研究課題

研究課題/領域番号 11672224
研究機関(財)東京都医学研究機構

研究代表者

川原 正博  財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主事研究員 (40224828)

キーワードアルツハイマー病 / 細胞内カルシウム変動 / GT1-7細胞 / 膜脂質 / 性ホルモン / プリオン病 / イオンチャネル / コレステロール
研究概要

これまでに確立したGT1-7細胞の細胞内カルシウム流入を高感度ビデオカメラを用いる細胞内カルシウムの同時多点計測システムを用いて、カルシウム流入の時間的・空間的パターンの解析を行った結果、様々なアナログの中でβ1-40、β1-42、β25-35などの神経毒性を持ち、βシート構造を形成するペプチドは細胞内カルシウム流入を引き起こしたが、毒性を持たないβ1-28や対照として用いた逆シークエンスペプチドであるβ40-1では変化は見られなかった。このような細胞内カルシウム流入は、ハチ毒ペプチドのメリチンやカエル皮膚由来の抗菌性ペプチド、マガイニン2などの細胞膜にpore形成能を持つペプチドでも同様に生じたことから、GT1-7細胞の細胞内カルシウム流入は細胞膜においてペプチドが会合したチャネルに由来することが示唆された。さらに、βアミロイド蛋白によって生じる細胞内カルシウム濃度の増加量、反応を示す細胞の割合は濃度依存的に増加し、一方、反応が生じるまでの潜時は濃度依存的に減少することも判明した。次に、膜表面荷電や流動性を変化させる様々な薬物、コレステロール誘導体、イソフラボン誘導体などをGT1-7細胞に前投与した後、βアミロイド蛋白を投与して細胞内カルシウム流入を観察した。その結果、女性ホルモン17β-estradio1、植物エストロジェンであるphloretin、やcholesterolなどによってβアミロイドチャネルの形成は阻害された。アルツハイマー病は女性に多いことなどから、治療としてホルモン補充療法が用いられているが、そのメカニズムは未だ不明の点が多く、今回の結果からestradio1等のステロイド化合物が膜に侵入して膜に対するペプチドのaffinityを変化させることによって作用させる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] KAWAHARA M. and KURODA Y.: "Molecular mechanism of neurodegeneration induced by Alzheimer's β-amyloid protein : Channel formation and disruption of calcium homeostasis"Brain Res. Bull. (in press). (2000)

  • [文献書誌] 川原正博、黒田洋一郎: "アルツハイマー・βアミロイド蛋白質の神経毒性と膜脂質との関連"蛋白質、核酸、酵素. 44. 1982-1987 (1999)

  • [文献書誌] 川原正博、加藤みどり、村本和世、黒田洋一郎: "アルツハイマー・βアミロイド蛋白質による細胞内カルシウム流入の細胞による差異"神経化学. 38. 319 (1999)

  • [文献書誌] 川原正博: "アルツハイマー病の発症における微量金属元素の寄与"Biomed. Res. Trace. Elements. 10. 1-12 (1999)

  • [文献書誌] 川原正博、黒田洋一郎: "アルツハイマー病 病因病態 アルミニウム及びその他の金属"臨床精神医学講座. (印刷中). (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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