研究課題/領域番号 |
11672228
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小林 佐賀恵 (有元 佐賀恵) 岡山大学, 薬学部, 助手 (90212654)
|
研究分担者 |
根岸 友恵 岡山大学, 薬学部, 助教授 (80116491)
|
キーワード | ニトロソ化アミノ酸 / ニトロソプロリン / 近紫外光 / 変異原性 / 太陽光 / DNA切断 / 酸化的DNA傷害 / ヒト由来細胞 |
研究概要 |
アミノ酸の一つであるプロリンは生体内で亜硝酸と反応してニトロソプロリン(NPRO)を生成することが知られ、正常人の尿中からも検出されている。NPROは代謝酵素による活性化を受けないため、他の発がん性ニトロサミンとは異なり、非変異原性とされてきたが、本研究では、NPROが近紫外光により活性化され、変異原性・DNA傷害性を示すようになるのではないかと考え、研究を行った。その結果、NPROは近紫外光照射によりサルモネラ菌TA1535に突然変異を誘起することが分かった。波長毎の単色光照射実験の結果、NPROの近紫外光吸収のピークと突然変異のピークが一致し、NPROが直接光を吸収して活性化されていることが明らかとなった。さらに、ファージM13mp2 DNAを用いた研究により誘起する突然変異スペクトラムを調べたところ、GCからCGへのトランスバージョンを主に引き起すことが分かった。さらに、NPRO存在下、近紫外光照射した2本鎖スーパーコイル上DNAに1本鎖切断が生じることが分かった。DNA切断はNPRO濃度、近紫外光照射時間の増加に伴って用量依存的に増加した。また、DNA切断のピークもNPROの近紫外光吸収ピークと一致した。さらに、NPRO存在下近紫外光照射したDNAにおける酸化的DNA損傷を調べたところ、誤対合により突然変異の原因となることが知られている酸化的損傷塩基8-ハイドロキシグアニン(8-OHdG)を検出した。8-OHdG量はNPRO及び近紫外光の用量依存的に増加した。さらに、ヒト由来の繊維芽細胞をNPRO存在下近紫外光照射したところ、DNA切断が生じ、コメットアッセイによりコメットテイルが観察された。以上の研究結果より、ニトロソ化アミノ酸NPROは内在性遺伝子損傷性物質の可能性のあることが分かった。
|