研究概要 |
本年度は3-及び4-メチルチオ(MeS)-2,5,3',4'-四塩素化ビフェニル(CB70)を用いて、肝ミクロゾーム(Ms)におけるMeS体→MeSO体及びMeSO体→MeSO_2体へのS-酸化活性をラット、ハムスター及びモルモットで比較するとともに、チトクロムP450(P450)及びフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)の関与の割合を各種動物で検討した。 まず、S-酸化活性の動物種差を比較したところ、いずれの反応も、モルモットで最も高く、次いでハムスター、ラットの順であった。ラットの活性はモルモットの数10分の1と低いものであった。また、モルモットとハムスターでのMeSO_2の生成はラットと異なり、PB前処理により、未処理の数倍から14倍に増加した。次にP450阻害剤であるSKF525-A及びN-benzylimidazoleの影響を調べた。いずれも1mMの添加で、ハムスター及びモルモット肝MsによるMeSO_2体の生成をほぼ完全に阻害された。一方、FMO阻害剤methimazole0.15mMの添加により、ハムスターで約30%阻害されたが、モルモットでは0.45mMの添加でも全く影響を受けなかった。また、Msを50℃で1分間温度処理した場合には、MeSO_2体の生成がハムスターでは阻害されたのに対し、モルモットでは全く阻害されなかった。 以上の結果から、2,5,3',4'-TCBのMeS体からMeSO_2体への酸化経路において、モルモットではP450が主に関与しており、FMOの関与はかなり少ないことが示唆された。また、ハムスターではP450が主ではあるが、FMOもS-酸化活性全体の数10%は寄与していると考えられる。なお、P450誘導剤の結果から、P450分子種としてモルモットではCYP2B18が、ハムスターではHPB-1(CYP2B)が重要であると考えられる。
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