研究概要 |
1、ハイブリッドペプチドライブラリーの作成;Gb3(Galα1-4Galβ1-4Glcα1-ceramide)の糖鎖部分、Galα1-OH,Galβ1-OHの各-OH基に脱離基を結合させたのち、セリンの-OH基とグリコシド縮合を行い、セリンに各糖が結合したアミノ酸アナログ2種を合成した。平成11年度にGalα1-セリンを、12年度にはGalβ1-セリンを用いてハイブリッドペプチドライブラリーを合成した。 2、ベロ毒素に対する高特異性、高親和性結合モチーフの決定;まず固定化酵素に対する高親和性ペプチドがペプチドライブラリー法を用いて決定できるか否かを、チロシンキナーゼZAP70を用いて検討した。その結果、強力な阻害剤として働く高親和性ペプチドモチーフが本方法を用いて決定できることが明らかとなった(研究発表1)。そこでGlutathione-S-Transferase(GST)融合ベロ毒素アフイニテイカラムを作成し、1で合成したハイブリッドペプチドライブラリーからベロ毒素に対する高特異性、高親和性結合モチーフのスクリーニングを行った。その結果、Galα1-セリンの存在する位置をposition 0として、position+1,+2にかけてTyr,Trpなどのアロマチィクアミノ酸に対して比較的高い選択性が、またposition-3,-4に塩基性アミノ酸に対して選択性が認められた。これまでにBサブユニット上に2箇所の糖鎖結合サイト(サイトI、サイトII)が存在することが明かとなっている。position+1,+2にTyr,Trpなどのまさにアロマチィクアミノ酸が選択されていることは、これらアミノ酸が疎水的な相互作用を介して高親和性の結合サイトであるサイトIに結合している可能性を示している。今後得られたモチーフを基に、第2次のペプチドライブラリーをデザインし、より高特異性、高親和性のモチーフを決定する予定である。
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