研究課題/領域番号 |
11672240
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上寺 祐之 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80191914)
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研究分担者 |
斉藤 英昭 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30134555)
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キーワード | Bowie Dick テスト / 生物学的インジケータ / 化学的インジケータ / Washer Disinfector / 高圧蒸気滅菌器 / F値 / ワイヤレス式温度計測ロガー / ワイヤレス式温度・圧力計測ロガー |
研究概要 |
1、自動洗浄器の温度制御に関する検討 自動洗浄器(Washer Disinfector)5台を対象に、ワイヤレス式温度計測ロガーを用いて熱水消毒工程の経時的温度計測を行った。その結果、熱水消毒工程における消毒温度と消毒時間を一括して評価できるF値は、自動洗浄器の経時的評価に有用であると考えられた。 2、Bowie Dick Testの意義に関する検討 1999年12月より2001年2月までの期間(51週間)、3台の高圧蒸気滅菌器を対象に、Bowie Dick Testおよび生物学的インジケータテストを週1回施行した。さらに、化学的インジケータテストは全ての滅菌物において行った。Bowie Dick Testの不合格結果は滅菌器1号機において2回、2号機において3回、3号機において1回認められた。各々の事例において、必ず滅菌器の機械的故障部位が発見された。そして、故障部位の修理後にはBowie Dick Testは全て合格となった。一方、生物学的および化学的インジケータテストはこの期間全て合格であった。したがって、Bowie Dick Testにより滅菌器の故障を早期発見できることが示唆された。現在、我国においては高圧蒸気滅菌法の質保証法として生物学的および化学的インジケータテストが主に用いられているが、今後、Bowie Dick Testも併用すべきであると考えられた。 3、温度・圧力ロガーを用いたBowie Dick Test結果の分析 Bowie Dick Test結果が不合格になった2回においてワイヤレス式温度・圧力計測ロガーを用いて検討を行った。真空ポンプの機能低下が原因であった1回では真空パルス工程において真空達成度が極めて不良であったが、滅菌器の扉パッキングからの空気の流入が原因であった1回では真空パルス工程はほぼ正常であった。Bowie Dick Test結果が不合格になる主な原因は、真空ポンプの故障による不十分な空気除去、およびパッキングや配管接合部からの滅菌器内への空気の流入であるので、真空工程における圧力計測は両者の鑑別に有用であると考えられた。 4、上記の検討により、ワイヤレス式温度・圧力計測ロガーを用いて、手術器械や医用材料の洗浄・消毒・滅菌工程を一貫して管理できることが示唆され、温度、時間、F値を用いる管理方法が有用であると考えられた。
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