研究課題/領域番号 |
11672244
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 素文 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (00291518)
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研究分担者 |
加藤 和生 九州大学, 大学院・教育学研究院, 助教授 (00281759)
丸野 俊一 九州大学, 大学院・教育学研究院, 教授 (30101009)
山本 博道 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20166820)
藤原 勝紀 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80091388)
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キーワード | 医療者養成 / 態度教育 / 臨床実習 / 入院体験 |
研究概要 |
平成9年に導入され、現在も実施中の入院体験実習について実習の意義と方略の最適化などについて調査研究を行った。医学部学生の1学年全員が参加する本体験実習は他に例を見ず、その意義や学生の入院生活体験と附属病院の診療業務との間の整合性の構築などについて、アンケートや会話記録などのデータをもとに検討し、その結果を実践した。(1)9年度は1回につき3-4名の学生が医療者役と患者役に別れて一泊二日のロールプレイを行った。この結果、(ア)患者役の学生は、約3/4が次年度以降の実習の継続に賛意を表明し、病室生活や診療上の人間関係、環境、医療行為など入院患者の生活を巡る事柄について気づきを得ていた。(イ)一方、医療者役の学生は、約9割が次年度の実習の継続に賛意を表明したが、体験できる項目は診療参加型臨床実習や看護体験実習など、他の実習方略で代替できるものが多かった。(ウ)医療者役の学生に医師や看護職の病棟業務を指導する教員、および、1年を通して実習を受け入れる病棟への負担が大きいと判断された。(2)以上3点から、10年度は医療者役の設定を廃し、全学生が複数の病棟で一泊二日の病室生活を体験するよう実習方略の大幅な変更が行われた。(3)11、12年度は、実習受け入れ病棟を更に増やし、必修制や希望制の是非、更なる方略の改善策などについて学生に調査した。次年度の実習の継続に賛意を表明した学生は約9割と9年度の患者役に比べて増加し、約7割の学生が必修制を支持した。学生による方略改善の提案は、特別食の提供、二泊三日への延長や検査体験の機会を増やすことなどであった。(4)上記期間を通じて、関係者への趣旨説明やマニュアルの配布などにより医学部教員と附属病院職員の連携体制を整備した。また、学生と同室になる患者や、普段とは異なる病室生活を体験する学生への配慮などが必須事項としてあげられた。今後は、教職員の異動に対応するシステムの構築など更なる改善の余地に取り組むための調査を計画中である。
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