本年度は、介護保険の基本調査項目の選定状況から要介護度を推定する簡易プログラムを作成し、痴呆性老人および寝たきり老人を対象に、その精度を検証した。 【目的】介護保険における要介護度の一次判定(コンピューター判定)は、基本調査項目の選定状況から複雑な計算を行うことにより求められる。われわれは、このような面倒な計算を行うことなく、容易に要介護度を推定できる簡易プログラムを開発し、その精度を検討した。 【方法】基本調査の7項目の選定状況から、要介護度を推定する樹形図を作成し、一次判定結果との一致率を検討した。この7項目は観察および評価のしやすい項目を選んだ。対象者は、各状態像のモデル60例(厚生省資料)、東山老年サナトリウム介護療養病棟の入院患者(内科例)168例、同じく老人性痴呆疾患療養病棟の入院患者(痴呆例)78例を対象とした。それぞれのグループにおいて、推定された要介護度と一次判定との一致率(正診率)と、推定要介護度と一次判定の差が上下1ランク以内に留まっていた割合(準正診率)を求めた。 【結果】正診率と準正診率は、状態モデル(73%、98%)、内科例(58%、99%)、痴呆例(64%、95%)であった。 【結論】介護保険の基本調査7項目の選定状況から、面倒な計算を行うことなく、要介護度をおおよそ推定できることが明らかとなった。今後、これらの評価項目を、在宅ケアアセスメント表の対応する項目に置き換えることにより、在宅ケアアセスメント表(MDS-HC)の選定状況から要介護度が推定可能となると考えられる。
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