研究課題/領域番号 |
11672253
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
高野 貴子 帝京大学, 医学部, 助教授 (50236246)
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研究分担者 |
山内 泰子 帝京大学, 医学部, 助手 (40246038)
高野 薫 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (60133005)
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キーワード | 高圧力 / 細胞死 / アポトーシス / リンパ芽球 / HL-60 / 微小管 / caspase |
研究概要 |
高圧力下の細胞生理、細胞死を解析することは、圧力による特異な生命現象を把握するだけでなく、生命現象そのものの理解にも役立つと考えられる。ヒトの培養細胞を浮遊培養状態のまま37℃で30分間一定の高圧力による加圧処理を行い、除圧後培養を継続し、圧力誘起アポトーシスを観察した。このうち正常男性由来のリンパ芽球(EB3)およびヒト前骨髄性白血病細胞(human promyelocytic leukemia:HL-60)において、50%生存率となる圧力はHL-60の方がEB3より低く、圧力誘起アポトーシスは、HL-60の方がEB3より除圧後早い時間から高率に起こり、2種類の細胞株の間で、細胞死の圧力依存性やアポトーシスの生起に差が認められた。ついで高圧力によるアポトーシスの実行過程を解明する目的で、細胞死関連遺伝子産物(蛋白質)のウエスタンブロット解析を行った。EB3では100MPaで30分間加圧し、常圧にもどして培養を続け5時間後からp53の発現の増強とcaspase-3 processingをみとめた。P53欠損細胞であるHL-60では除圧直後からEB3よりも高率にアポトーシスが検出され、除圧直後からp38 MAP kinaseのリン酸化と2時間後からcaspase-3(CPP32)の分解、活性化が顕著であった。圧力誘起アポトーシスにはp53を介する経路と介さない経路が存在し、共通のcaspaseカスケードに入りアポトーシスが実行されることがわかった。またHL-60、EB3ともに100MPa加圧でβ-tubulinの発現量が著しく減少し、α-tubulinも同様の傾向が認められた。微小管が圧力誘起アポトーシスのシグナル伝達に関わっていると考えられる。
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