研究課題/領域番号 |
11672257
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高倉 喜信 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30171432)
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研究分担者 |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30243041)
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キーワード | 遺伝子治療 / DNAワクチン / プラスミドDNA / マクロファージ / 細胞取り込み / スカベンジャー受容体 / ポリアニオン / 活性化 |
研究概要 |
近年、遺伝子治療において、遺伝子を通常の医薬品と同様、直接患者に投与するin vivo法の確立が望まれており、なかでも非ウイルスベクターであるプラスミドDNAを用いるアプローチは、有用かつ安全な手段として期待されている。しかしながら、生体に投与されたプラスミドDNAの体内動態に関する情報は極めて乏しく、また標的細胞やそれ以外の細胞における取り込み機構もほとんど知られていない。一方、プラスミドDNAがマクロファージ等の免疫担当細胞を活性化し、炎症性サイトカインを誘導することが最近報告され、安全性の観点からもプラスミドDNAの動態解明が重要と考えられている。そこで本研究では、遺伝子治療およびDNAワクチンの試みにおけるプラスミドDNAの投与の最適化を最終目的に、プラスミドDNAを全身あるいは局所投与した際に体内動態に関連する細胞での取り込み機構の解明を試みた。これまでの検討により、マクロファージが重要な役割を演じていること並びにスカベンジャー受容体様の機構の関与が示唆されている。そこで、スカベンジャー受容体発現CHO細胞およびスカベンジャー受容体ノックアウトマウスより採取したマクロファージを用いた取り込み実験を行った。その結果、プラスミドDNAの取り込みにはポリアニオの立体構造を特異的に認識するスカベンジャー受容体の特性に極めて類似している別の受容体が関与することが明らかとなった。また、取り込み機構と取り込み後に起こる遺伝子発現や活性化による腫瘍壊死因子の分泌など生物学的作用との関連についても有用な情報が得られた。
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